遠心分離機とは -What is a Centrifuge-

こちらのページでは遠心分離機の仕組みや動き方、遠心分離機の種類やどんなところで使われているのかなど、遠心分離機について詳しく解説します。

目次

 

遠心分離機とは

遠心分離機とは、遠心力を発生させて固体と液体を分離させる、または水と油のように互いに溶け合わない比重の異なる液体と液体を分離させる装置です。

遠心力を発生させて

・固体と液体を分離させる装置

・水と油のように互いに溶け合わない比重の異なる液体と液体を分離させる装置

 

分離

遠心分離機は遠心力を発生させて固体と液体を分離させる機械ですが、まずは分離について説明します。
例えば、甘酒や濁り酒を飲まずにしばらく放置すると澄んだ上水と沈殿した固形物に分かれます。

これは重力により比重の違う水と沈殿物が分離された状態です。
また、バケツの中に濁った水を入れてしばらくすると、重力によって澄んだ上水と砂などの固形物が分離されます。
こちらを重力沈降(じゅうりょくちんこう)といいます。

遠心沈降

水の入ったバケツをさかさまにすると通常であれば水がこぼれてしまいますが、バケツを手にもって勢いよく振り回して回転させるとバケツの中の水はこぼれません。

これはバケツを回転させることによって遠心力という重力の何倍もの大きさの力が働くことにより、普通であれば重力に従ってこぼれてしまう水が遠心力という重力よりも強い力によってバケツの底に留まろうとするためです。

バケツの水がこぼれない理由
遠心力>重力

濁った水の入ったバケツを手に持って勢いよく振り回すと遠心力が働くので、自然に重力で分離されるよりも大きな力が加わり、澄んだ上水と砂などの固形物が重力沈降よりも短い時間で分離されます。

このように遠心力を用いて沈降させる方法を遠心沈降(えんしんちんこう)といいます。

回転させる速さ、回転の中心からバケツまでの距離(回転半径)によって遠心力の大きさは変わりますが、遠心分離機では重力の数百倍から1万倍もの力を発生させることができるため、重力沈降の数百倍から1万倍も短い時間で分離ができます。

 

当社のお客様では重力沈降で分離されていたお客様で分離時間が2日間かかっていたものが、遠心力を用いることによって30分で遠心沈降分離することができた事例があります。

遠心沈降を実際に遠心分離機で使用する場合は、

・濾過するための濾材よりも細かい粒子を遠心沈降で分けて澄んだ上水のみをパイプで外に排出させる
・液体と液体を分けて2つの液体をそれぞれ別のパイプから外に排出させる

上記のような使い方をします。

遠心濾過

濁った水の入ったバケツを手に持って勢いよく振り回すと遠心力が働くので、自然に重力で分離されるよりも大きな力が加わり、澄んだ上水と砂などの固形物が重力沈降よりも短い時間で分離されます。

その振り回しているバケツの底に小さな穴を開け、水だけを外に出して砂だけをバスケット内に残す方法を遠心濾過(えんしんろか)と呼びます。

バケツの中に残したい固体の大きさによってバケツの穴の大きさを変更します。

遠心分離

上で解説した遠心沈降と遠心濾過を総称して遠心分離と呼びます。

遠心分離とは、ある物質に対して遠心力をかけることにより、その物質を構成する成分を分離する方法です。

【まとめ】
・重力沈降:重力によって比重の違う水と沈殿物を分離させる方法。
・遠心沈降:遠心力を用いて比重の違う水と沈殿物を分離させる方法。
・遠心濾過:遠心力を用いて水分を外に排出することにより、水分と沈殿物を分離させる方法。
・遠心分離:遠心濾過と遠心沈降を合わせた総称。

 

遠心分離機

 

遠心分離機とは、機械内部で遠心力を発生させて遠心沈降・遠心ろ過の作用で固体と液体を分離させる、または水と油のように互いに溶け合わない比重の異なる液体と液体を分離させる装置です。

機械内部で遠心力を発生させて遠心沈降・遠心ろ過の作用で
・固体と液体を分離させる装置
・水と油のように互いに溶け合わない比重の異なる液体と液体を分離させる装置


【遠心分離機】

遠心分離機の仕組み

遠心分離機の機械内部に回転体(バスケット)を備え、それを高速で回転させることで遠心力を発生させます。

円筒状で側面部に穴の開いている部品がバスケットです。

遠心濾過機のタイプでは側面部に穴が開いていますが、遠心沈降機のタイプでは穴がありません。

 

 

遠心沈降機

液と液、細かい固形物の比重差分離を行う遠心沈降機タイプでは、回転体にフィルター及び液体の通過する孔がなく、回転体の壁面に重液が形成され、その上に軽液が形成され、それぞれを排出することで分離液を回収します。


①回転させているバスケット内にスラリーという濾過する前のどろどろとした液体を投入します。

②遠心力がかかり、スラリーがバスケットの内側の壁面に張り付きます


③バスケットの回転を速くすると比重差で比重の重いものが遠心力によってバスケットの壁面側へ移動していきます。

④比重の重いものと比重の軽いものが分かれた段階でそれぞれをパイプなどで外に排出することで澄んだ上水や結晶を回収します。
壁面に移動して溜まった結晶はケーキと呼ばれます。

固体と液体の分離を「固液分離」、液体と液体の分離を「液液分離」といいます。

 

遠心濾過機


①遠心濾過機タイプでは回転体にろ過材(布、金属フィルター)が取り付けてあり、それを通過することにより、処理物の固体と液体を分離します。
壁面に穴の開いたバスケットの内側にろ過材を設置し、バスケットを回転させます。

②バスケットの内側にスラリーというろ過する前のどろどろとした液体を投入します。

③遠心力がかかり、スラリーがバスケットの内側壁面に張り付きます。


④バスケットの回転を速くするとスラリーの中の結晶が遠心力によって外側へ移動していき、沈降物がバスケットの壁面に溜まっていきます。

⑤沈降物がろ過材によってバスケット内に留まり、ろ過材の目よりも小さい水分がバスケットの穴から外へ排出されます。


⑥最後に残った水分が抜けきった粉をケーキ、または結晶と呼びます。

このように遠心分離機の中で遠心濾過が行われます。

 

遠心分離機の動作と濾過工程

遠心分離機の動き方を動画にしました。
遠心分離機内で行われる動作の工程を動画で確認いただけます。

給液


①バスケット内に濾布を装着。ケーシングを閉じ起動します。

②給液工程必要回転数まで加速し、給液パイプからスラリーを送り込みます。

③給液量はオーバーフィード防止装置により制御されます。

 

脱液


①予め設定された回転数まで上昇します。

②分離された濾過液はバスケット外へ排出されます。

③脱液により固形物がバスケット内に堆積されます。

④予め設定された時間、脱液工程を行います。

 

結晶洗浄


①バスケット内の固形物・結晶を水や溶剤などで洗浄する工程が入ることもあり、その場合は洗浄パイプからバスケット内へ洗浄液を送り込みます。

②洗浄液は注入後、ケーキ内をまんべんなく洗浄し、バスケット外へ排出されます。

 

排出

①排出工程可能回転数まで減速させ、掻取装置を起動します。掻取刃を結晶に食い込ませ、結晶を搔き取ります。

②掻き落とされた結晶は落下し、次工程へ搬送されます。

 

機内洗浄


①低速回転の状態でCIP洗浄用ノズルという部品が回転しながら洗浄液を噴出します。この部品によって機械内部の隅々まで洗浄が可能です。

 

浸漬洗浄


①低速回転を維持し、排液口を閉じた状態でノズルより洗浄液を噴射。

②機械内部を洗浄液で浸して洗うことにより、洗浄効果をより一層高めることが可能です。

 

遠心分離機の種類

バッチ式と連続式

【バッチ式】

給液から分離、脱液、排出、洗浄などの全行程を1サイクルとして都度完了させる方式です。
1バッチ目、2バッチ目とカウントします。

洗濯機で例えると、衣類の投入後に洗剤を投入、洗いが終わってからすすぎの工程があり、脱水の工程、それが終わってから衣類を取り出します。2回目の洗濯を行うには再び衣類の投入の工程から始まります。

遠心分離機ではおおまかには遠心分離機内に給液を行い、脱液を行い、排出、洗浄の工程が完了した後に2バッチ目として再度給液から行います。

 

メリット

様々な液体のろ過が可能

給液、脱液、排出、洗浄の時間をそれぞれでセットできるため、液体の性質に合わせて様々な液体をろ過することが可能です。

トレースが可能

バッチごとの管理を行うことができるため、製品を回収する必要がある場合にその製品がいつ作られたものなのかのトレースが可能です。

・省スペース

1つの機械の中で時間を区切って工程を進めるため、省スペースです。

都度確認が可能

ろ過の程度など、都度確認しながら工程を進めることが可能です。

デメリット

・処理時間がかかる

連続式と比較すると給液から洗浄まで1サイクルのできあがりに時間がかかります。

・大量生産・大量処理に不向き

連続式と比較すると次々と処理を進められるわけではないので大量の液体のろ過には向きません。

当社のバッチ式遠心分離機では1回に投入できる最大処理量は940kgです。

当社のバッチ式遠心分離機

 

連続式

給液しながら排出するという一連の流れを連続して行う方式です。

洗濯機で例えると、洗濯機の上から衣類を少しずつ入れ続けると洗濯機の下から洗濯後の絞られた衣類が出てくるイメージです。

遠心分離機では機内に少しずつ液体を投入すると機械内で脱液を行いながら一連の流れで同時に排出されていきます。

 

メリット

・大量生産、大量処理が可能

大容量の液体のろ過が可能です。
処理量は1時間あたりに何ℓろ過できるかという計算を行い、〇〇リットル/1時間と表記します

・処理時間が短縮

少しずつ給液しながら同時に排出しているため、液体を投入してから出てくるまでの時間がバッチ式と比較して短くなります。

デメリット

・機械サイズが大きい

1台の機械内ですべての工程を同時に行うため、機械サイズは比較的大きくなります。

・臨機応変な対応が困難

ろ過や洗浄などの工程中に都度機械を止めることができないため、処理中の変化への対応が困難です。

・トレースが困難

製品不良が起こった際にどの段階でどの部分で不良が起きたのかのトレースが困難です。

当社の連続式遠心分離機

 

縦型・横型・斜め型

遠心分離機はバスケットの向きによって縦型と横型と斜め型に分類されます。

縦型

バスケットが上向きについているタイプが縦型遠心分離機です。

縦型遠心分離機のメリット

・省スペース

処理容量を基準とした場合の本体の設置スペースが省スペースです。

・大容量の処理が可能

横型と比較して大容量の処理が可能です。

縦型遠心分離機のデメリット

・封じ込めが困難

高薬理活性、毒性の強いものに対しての封じ込めが横型と比較して困難です。

・異物混入リスク

クリーンルーム内に設置する際にモーターなどの駆動部ごと設置するため、横型と比較して異物混入リスクが高まります。

当社の縦型遠心分離機

 

横型

バスケットが横向きについているタイプが横型遠心分離機です。

横型遠心分離機のメリット

・異物混入防止に最適

モーターなどの駆動部をクリーンルームの外へ置き、バスケットの前だけをクリーンルームの中に設置することが容易です。

・クリーンルーム内が省スペース

クリーンルーム内での設置スペースが省スペースです。

・封じ込めが容易

高薬理活性、毒性の強いものに対しての封じ込めが容易です。

・FDA査察などの際に有利

海外では横型遠心分離機がスタンダードなため、FDA査察などの際に有利です。

横型遠心分離機のデメリット

・機械全体のサイズが大きい

処理容量を基準とした場合の本体の設置スペースが縦型と比較して大きくなります。

・大量生産に不向き

縦型と比較して最大処理量が少量です。

当社の横型遠心分離機

 

斜め型

バスケットが斜め向きについているタイプが斜め型遠心分離機です。

 

斜め型遠心分離機のメリット

・オペレーターの身体的負担の軽減

バスケットが斜めになっているため、腰を曲げすぎずにバスケット内からろ布や結晶を取り出しやすく、オペレーターの負担が軽減されます。

・異物混入リスクの軽減

モーターなどの駆動部をクリーンルームの外へ置き、バスケットの前だけをクリーンルームの中に設置することが容易です。

・クリーンルーム内が省スペース

クリーンルーム内での設置スペースが省スペースです。

斜め型遠心分離機のデメリット

・機械全体のサイズが大きい

処理容量を基準とした場合の本体の設置スペースが縦型と比較して大きくなります。

・大量生産に不向き

縦型と比較して最大処理量が少量です。

当社の斜め型遠心分離機

 

排出方法

結晶、ケーキ、固形分の排出方法によって遠心分離機は分類されます。

上部排出型

機械の上から固体を取り出します。

メリット

・結晶の全量回収が可能

ろ布が袋型になっているため、結晶の全量回収が可能です。

・多品種少量生産に最適

少量での生産が可能なため、多品種少量生産に最適です。

・1階への設置が可能

上から取り出すタイプなので工場の1階に設置が可能です。

デメリット

・自動化に不向き

基本的には人手で袋状のろ布を引き出して排出作業を行います。そのため自動化には不向きです。

・異物混入リスクが高い

排出時に人が介在するため、その他の排出方法と比較して異物混入リスクがあります。

当社の上部排出型遠心分離機

 

底部排出型

自動で機械の下から結晶を排出します。

メリット

・自動化が可能

掻取装置という部品で結晶を削り取り、機械の下へ掻き落としていくため、自動で排出作業ができるため自動化が可能です。

・異物混入リスクが低い

排出時に人が介在しないため、異物混入リスクが減少します。

 

デメリット

・1階への設置が困難

機械の下へ排出されるため、1階に設置することが困難です。

・全量回収に不向き

掻取装置という部品で結晶を削り取るため、バスケットのろ布ぎりぎりまでの結晶回収は可能ですが、結晶を全て回収することはできかねます。

当社の底部排出型遠心分離機

 

吸引型

機械の中に設置されているノズルから空気輸送で排出します。

メリット

・異物混入リスクが低い

結晶を遠心分離機から次工程へ空気輸送で搬送するため、異物混入リスクが減少します。

・1階へ設置可能

結晶を吸引して空気搬送するため、工場の1階に設置が可能です。

デメリット

・多品種生産に不向き

結晶の性質によってはパイプが詰まるため、多品種生産、マルチパーパスに不向きです。

当社の吸引型遠心分離機

 

ボール型

ボール型バスケットに切削屑を連続で投入することにより、脱油された切子を連続で排出します。

メリット

・大量生産、大量処理が可能

切削屑を投入しながら排出されていくので、大容量のろ過が可能です。

・処理時間が短縮

少しずつ給液しながら同時に排出しているため、切削屑を投入してから出てくるまでの時間がその他の排出方法と比較して短くなります。

デメリット

・少量生産が困難

投入した切削屑に押し出されて排出されていくため、処理する切削屑が少なすぎると排出されずに処理できかねます。

当社のボール型遠心分離機

 

遠心分離機の用途

 

遠心分離機の用途としては、医薬品、化学製品、農薬、電子材料、食品の製造。
産業廃棄物、汚泥の処理、切削屑の油回収などの浄化、リサイクル。病院、大学、企業の研究室など様々な分野で使用されています。


  • 医薬品製造用 遠心分離機
    pharmaceutical manufacturing

     

  • 化学品製造用 遠心分離機
    Centrifuge for manufacturing chemicals

     

  • 食品製造用 遠心分離機・脱水機・脱油機
    Centrifuge / dehydrator / deoiler for food manufacturing

     

  • 鉄鋼・工業用 遠心ろ過機
    Steel / industrial centrifugal filter

     

  • 繊維工業用 遠心分離脱水機
    Centrifugal separator for textile industry

     

  • リサイクル用機器
    Equipment for recycling

     

  • 切削リサイクル用遠心分離機
    Centrifuge for cutting and recycling

     

  • 研究開発用遠心分離機
    Centrifuge for research and development

     

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遠心効果の計算

遠心効果: Z(g)を求めるには

回転半径 r(m)と回転数 N(min-1)に半角数字を入力して「計算」ボタンを押してください。

回転半径r
m
回転数N
min-1


遠心効果Z
g

回転数: N (min-1)を求めるには

回転半径 r(m)と遠心効果(Z)に半角数字を入力して「計算」ボタンを押してください。

回転半径r
m
回転数N
min-1


遠心効果Z
g

回転半径: r(m)を求めるには

遠心効果(Z)と回転数 N(min-1)に半角数字を入力して「計算」ボタンを押してください。

遠心効果Z
m
回転数N
min-1


遠心効果Z
g

基本計算式

(N2×r)÷900

Z:遠心効果(g)  r:回転半径(m)  N:回転数(min-1)

遠心効果(g)は換算システムで簡単に計算できます。円周率は3.14159で計算しています。