医薬向け遠心分離機に求められた6つの改良点
医薬品の製造販売を手掛けるM社様より、新製品導入に際して「使い勝手が良く、かつ医薬用途として異物混入リスクを低減し、洗浄性に優れた遠心分離機が欲しい」とのご要望をいただきました。
商社様を通じてお問い合わせいただき、仕様の打合せを重ねた結果、当社にてご採用いただく運びとなりました。
▼ご注文までの流れ
まずは、対象スラリーが当社遠心分離機で適切に固液分離できるかを確認するため、テストからスタート。テストは問題なく終了し、大量生産仕様へのスケールアップを実施しました。
次に、外形図をもとに据付スペースへの設置可否や機器仕様の適合性を確認し、正式にご発注いただきました。
【POINT】オーダーメイドのため細かいご希望にも対応可能
(1) ケーシング開閉装置(ハンドル式)
機械内部の洗浄確認やスワブ操作がしやすい、ハンドル式の開閉機構を採用しました。24インチサイズでは「手動開閉」「エナパック開閉」「ハンドル開閉」から選択可能ですが、今回は動力不要かつ操作性に優れたハンドル式を選定しています。
(2) 下部直結仕様
従来のKM型はモーターと回転体をベルトで駆動する仕様ですが、今回はベルト粉塵の発生を防ぎ、モーターの張り出しによるレイアウト制限を解消するため、モーターと回転体を直結する「下部直結仕様」を採用。クリーンな環境下での生産に適しています。
(3) 外装SUS(ステンレス)仕様
通常は鉄材+塗装仕上げのところ、本機では外装にステンレス(SUS)を使用。これにより洗浄性の向上とともに、腐食による異物混入リスクの低減を実現しました。
(4) バスケット フラットタイプ
旧型機では山型構造のバスケットが主流でしたが、今回は標準でフラット構造を採用。ケーシング底部の洗浄性が大幅に向上しました。なお、山型バスケットは機械の重心を下げて低振動を実現する構造であり、用途によっては採用されるケースもありますが、洗浄性向上が求められる今回はフラットタイプが最適と判断しました。
(5) バスケットストレート仕様
バスケットカバーを排除し、濾布の脱着作業をよりスムーズに。また、ユーザー様側でご用意いただくリフターを使用することで、脱水袋の脱着作業がさらに容易になります。さらに、脱水袋を吊り上げた際に結晶が落下しやすいよう、下部開放構造も採用しています。
(6) 主軸N₂パージ仕様
主軸内部にガスや液体が侵入しないよう、N₂ガス(窒素)を注入できる構造としました。これにより、主軸内部の腐食を抑制し、洗浄時にも液の浸入を防ぐことができます。結果として、機内の浸漬洗浄にも対応可能となりました。
本件では、医薬分野での使用において特に重要となる「洗浄性」「クリーン性」「異物混入防止」に重点を置き、構造・仕様の見直しと改善を図りました。
今後もユーザー様のニーズに即したご提案を続けてまいります。
納入企業様
医薬品メーカーM社様
納入遠心分離機
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