製造設備の改善は、必ずしも「新しい機械を購入する」ことだけではありません。既存設備の「駆動方式」を見直すだけで、生産性・安全性・省エネ性が大きく向上することがあります。
その代表例が、バスケット型遠心分離機における油圧駆動からインバーター駆動への切り替えです。
◆お客様のご要望:油圧駆動からインバーター駆動へ切り替えたい
【POINT】
■ 油圧駆動の強みと課題
従来、多くのバスケット型遠心分離機では油圧モーターが使用されてきました。理由は明確で、強力なトルクと安定した駆動力が求められるからです。特に重たいケーキの排出や粘性の高いスラリー処理には適していました。
しかし近年、そのデメリットも目立つようになっています。
-
・油漏れや配管劣化による保守負担と環境リスク
-
・制御の柔軟性が低く、加減速や回転数の変更に制約が多い
-
・油圧モーターの供給減少や生産停止による調達リスク
こうした背景から、「インバーター駆動」への転換が進んでいます。
■ インバーター駆動のメリット
インバーター駆動とは、電動モーターの回転数を周波数制御によって自在に変化させられる方式です。これにより、柔軟・正確・クリーンな駆動制御が可能になります。
主なメリットは以下の通りです。
-
・回転数を自由に調整可能
→ スタート/ストップ時の加減速カーブを設定でき、装置や材料に優しい運転が可能 -
・油圧系統が不要
→ 油漏れ・汚染リスクの低減、配管メンテナンス不要、環境負荷の軽減 -
・低騒音・低振動で快適
→ クリーンルームやGMP対応の現場にも適合 -
・省エネ性能の向上
→ 必要な時に必要な分だけ動かす効率的な制御が可能 -
・PLCとの連携が容易
→ 全自動運転やIoT監視に対応し、スマート工場化を支援
■ 実際の更新事例
化学メーカーB社様では、30年近く使用していた油圧駆動型のバスケット遠心分離機を、インバーター駆動へ更新しました。
その結果、次のような効果が得られました。
-
・保守作業が大幅に減少し、現場の負担が軽減
-
・オイル交換や漏れ対策が不要に
-
・製品品質が安定し、微調整も容易に
-
・運転状況の“見える化”により、トラブル対応が迅速に
-
・データを活用した運転改善や技術継承がスムーズに
■ 導入の際のポイント
インバーター駆動化は、単純に更新すれば完了するものではありません。以下の点を事前に確認することが重要です。
-
・据付場所の構造や荷重条件が適合するか
-
・インバーター設置スペースや配線設計の確保
-
・制御盤や操作系との連動調整
信頼できるメーカーと綿密に技術相談を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
納入企業様
化学メーカーB社様
納入遠心分離機
遠心分離機に関するご相談、ご質問、お問い合わせは遠心分離機のパイオニアメーカー松本機械販売までお気軽にご連絡くださいませ。